ルール
            KとJの道理


                1


古い大樹の幹。
鍵のかかっていない扉を開くと、トランプの嵐が吹き荒れた。
紫と黒の市松模様の天井、壁、床はうねり、平衡感覚を狂わす。
歪んだ鏡のような世界。

その中を、如樹 龍月きさらぎ たつきは、慣れた様子で長い脚を運ぶ。
定例のこの会―――“Aのお茶会”。
ここには、帽子屋や三月ウサギ、ましてやネズミなどは居ない。
その代わり。

 「六本木に世界多幸教。大変だったね。」

いつものチェシャ猫が出迎えた。その顔は、天井にある。
大変だった。という言葉に真実味はない。
樹の上から龍月を見下して、口角を上げた。

 「維薪いしんが頑張ってくれました。」

報告すると、世界がぐるり。と、一回転した。
いつの間にか目の前に大きな円い白いテーブルが現れた。
3人の男が着席している。

龍月も所定の位置に腰下す。
龍月の椅子には、HeartハートAceエースが装飾されている。
左隣から時計回りに、DiamondダイヤモンドClubクラブ
そしてSpadeスペード。 そのどれもがAce。

そこに座る男たちは、誰もがフォトリアルだ。最新最高技術の集約。
毎度の事だが感心させられる。
天井、壁、床。至る所にある鏡。
それに映る自分も自分の顔と相違ない。

このお茶会におけるお茶は、紅茶ではない。
各々が好む飲物を思い思いに飲み始める。

龍月も珈琲を口に運ぶ。右隣のSpadeのAceもおそらく珈琲。
左隣のDiamondのAceは、ロックグラスを片手に葉巻シガーを薫らせている。
グラスの中身は、おそらくバーボンだろう。綺麗な琥珀色だ。
正面、ClubのAceの持つショットグラスは、透明だった。

 「いやぁ。ほんと、凄いよね、彼はぁ。」

呂律が少し怪しい。察するにウォッカだ。透明度の高い、最高級の。
ClubのAceは、陽気な笑顔を振りまきながら、彼―――維薪の事を褒める。

 「自爆型ドローンに気づく勘といい、反射神経。さらに頭脳明晰ときた。年、ごまかしてなぁい?ホントに中学生なのぉ?」

いよいよ口調がおかしい。と、誰もが感じた瞬間。
再びチェシャ猫が現れて、テーブルのど真ん中に落ちてきた。
チャシャ猫は、宮廷道化師の鈴の付いた帽子をかぶっている。
紫と黒の縞模様の。

宮廷道化師とは、中世ヨーロッパに登場する道化師だ。
大族や貴族に仕え、ジョークや悪ふざけで周囲を楽しませる役割。
その反面。
大様や貴族の悪口、批判を口にできる特別な存在。
無敵―――切り札。つまり、JOKERジョーカーだ。



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イラスト公開

龍月&
K、TeddyとJ、Lee







イラスト二枚目は、2021年11月15日結成の東京華雅會とうきょうはなみやびかい
通称、東華とうか。の、ツートップ。TeddyテディLeeリー
プロットでのらくがきです。


A左:江堂 都華咲えどう つかさ(Teddy)、右:浅我 俐士あさわ りひと(Lee)









イラスト三枚目。
「東京華雅會」創設メンバー4人です。

一応、順番的には、
1、なゆた(ニャンタ)・源剱げんけん(ケンケン)
2、慶蔵けいぞう(ハチ)
3、玉満たまみつ(タマ)
の順で東華に加入。

そこらへんの秘話は本編にて!……たぶんw。

つーか。あく強すぎメンバー4人(汗)です。
ニックネーム。遊んでるしか思えないな。と、誰かから突っ込みきそう。

ニックネームの由来もどっかで……きっとw。

乞うご期待!



B「東京華雅會」創設メンバー



                                             2022.11.15