ルール
            KとJの道理


                3


この世の中は、幸福は不平等に。不幸は平等に訪れる。
因果応報など、嘘だ。
どんな悪い行いをし続けても、ずる賢い悪人は生き延びる。
どんな良い行いをし続けても善人は死ぬ。

運が悪かった。と、片付けるのは、嫌だった。
だから。
そんな世の中をぶっ壊すことを、決めた。


2023年11月15日。
渋谷の街は、着物を着た女の子たちで溢れていた。

 「っ……すっ、すみま……」

足元のゴミが何かを言った。

 「やべぇ。バケモンか、こいつ……」

ゴミ仲間のクズ共が後退りして僕を見る。
ありがとう。女の子は、僕に礼を言った。
慣れない下駄で歩き出す。

ビルとビルの間。
ゴミとクズ共は、七五三の祝いに訪れた女の子たちをカモっていた。

 「ここを何処だと思ってんだ、ああ?」

ハチが凄むとゴミとクズ共は、一斉に散った。
その背中にタマが、東華とうかナメないで下さい。
と、捨て台詞のように吐いた。
壁に背を預けていたりぃくんが、軽く溜息。
僕に目配せする。
4人、目的地へと歩みを進めた。

渋谷区神宮寺前5丁目。
和風テイストのマンションの前。
僕たちを待っていたのは、ニャンタとケンケンだ。

ニャンタは、いつもの飄々とした可愛い笑顔でおかえり。と、手を振ってくれた。
今日もお団子に結った髪がキュートだ。

 「ケンケン。七五三に間違われなかった?」

僕の言葉にニャンタは爆笑して、ケンケンは大丈夫だったぞ。
と、真面目に返答した。
ケンケンは、いつも着物―――侍。のような格好をしている。
髪も長く、一本にまとめ上げていて、手には木刀を持っている。
何でも、剣士になりたいのだとか。

 「ゴミ掃除、してて少し遅くなりました。」

りぃくんが礼儀正しくニャンタたちに言った。
ツーブロックの黒髪。リングのピアスが揺れた。
今日もジーンズを格好よく着こなす。
だから、皆からはLeeリーと呼ばれている。

 「今日・・はまずいだろ。ゴミ共は生きてたか?」

ニャンタが小声でりぃくんに言った。
りぃくんは優しい笑顔でうなづいた。
タマが興奮した様子で僕の武勇伝を語る。
途中、何度もメガネをかけ直しながら。

タマのメガネは、abxのPOLICE。
トレンドの薄色オレンジサングラスがオシャレだ。
金髪マッシュに良く似合っている。
何でも100個以上持っていて、気分で色や形を変える。

 「Teddyテディの手ぇ、煩わすまでもなかったんスけどね。」

ハチはニャンタたちに言った。
ニャンタは、どうせTeddy―――僕。が瞬殺したんだろ。
と、見てきたように笑う。
ハチは、唇のリングピアスと、三つ編みした髪を揺らして笑った。

ハチは、身長2mに届きそうなくらい、でかくてごつい。
顎髭に、トップを逆立てした蛍光緑色ネオングリーンの髪。
長い襟足は三つ編みされている。
すごく、個性的だ。

皆、自由で自我を貫いている。
良い。すごく、心地良い。
最高だ。

そう、僕たち東華―――東京華雅會とうきょうはなみやびかい。は、個性的で自由な仲間。

 「よそモンが集まる今日みたいな日は、特に掃除が大変です。」

タマは、大きく溜息を着いた。
ニャンタは軽く頷いて、皆待ってるぞ。と、マンションを見上げた。

あの日のように、街路樹の銀杏が鮮やかな黄色に染まっている。
澄んだ青い空。
少し肌寒い風が、僕のピンクベージュの長髪を撫でる。

大丈夫。大丈夫だよ、雅楽うた

僕は、髪と同じ色のクマのスマホストラップを握った。



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