ルール
♠KとJの道理
♠
4
「自由に賞賛を。
道理違反に制裁を。」
りぃくんの言葉で、10畳のリビングが宴会会場となった。
大量の食べ物に酒。
平日の昼間だというのに、20人以上集まっている。
LINEのビデオ通話で繋がっている奴らも、数十人。
今日は、
東京華雅會の2周年記念日だ。
「2年で関東一なんて、ほんとすげぇっスよ、
Teddyくん。」
田子が大口を開けて笑った。前歯が一本ない。
ハチが、だからって
また調子に乗りすぎんなよ。と、牽制。
Teddy、怖ぇからなぁ。と、ニャンタが場を和ませた。
「当たり前だ。仲間だからこそルール違反は許さねぇ!」
東華はTeddyがルールだ。と、酒が入ると性格が変わるタマ。
田子を指さして睨みつけた。
田子はすんません。と、頭を下げる。
そう。
僕の
道理に従わない奴は、絶対に許さない。
「拾ってもらえて光栄です。」
今年の夏。
東華の傘下に下った、
関東壱角會の当時幹部だった
杜松が立ちがった。
頭を下げる。
杜松の仲間たちも倣った。
通称六本木事件。で、東華はメンバー200を超え、千葉と埼玉も傘下にした。
現在、関東一を謳っている。日本一まで大手だ。
僕の
道理を日本中に轟かせる。
幸福も、不幸も平等に。悪に制裁を。
「東華が名実共に関東一なのは、周知です。」
ただ。と、杜松は元々神経質そうな顔をさらにゆがめた。
リーゼントの額に皺ができた。
「最近、港区のチーム。
東京港心會が臭いです。」
情報収集が得意な杜松。
関壱會にいたときに既に目の上のたん瘤だった。と、加えた。
元関壱會のトップ―――
巳嵜は、ゆくゆくは潰す。又は吸収する。
と、息まいていたようだ。警察に捕まったが。
東京港心會はどうやら関西とつながりがあるらしい。
関壱會の消滅を機に関東をも牛耳るつもりかも。と、杜松は言った。
「港区か。……手薄なとこだな。Teddy、自分に調べさせてくれ。」
「
また、ハニートラップ引っかかんなよ。」
ニャンタの茶々にケンケンは、心得ている。と、うなづいた。
僕の任せる。の言葉に、かたじけない。と、腰を折った。
ケンケンは、見た目クールなイケメン。
お硬い武士の様なのに、超がつくほど女の子好きだ。
なのに、モテない。
だからだ。と、ニャンタは笑う。
ニャンタは誰に対しても基本穏やかで優しく接する。
大人で、頼りがいがある。
元は、ケンケンと共に
Crazy Kidsというチームのメンバーだった。
でも、2年前の今日。東華を一緒に立ち上げた。
Crazy Kidsは、東華と一部統合、一部解散となって、今は、ない。
Crazy Kidsは、ニャンタの父ちゃんとケンケンの父ちゃんのチームだった。
りぃくんの父ちゃんが何代目かの頭だ。
このマンションはりぃくんの父ちゃんの物で、ニャンタの父ちゃんが管理者。
他にも僕やハチみたいに親のいない奴らが住んでいる。
僕は、りぃくんの父ちゃんに拾われ、ここに住まわせてもらっている。
「おお、やってんなぁ!」
両手に大きなビニール袋を提げてあがってきたのは、モンちゃんだ。
Crazy Kids最後の
頭。
ニャンタとケンケンが出迎えて、荷物を受け取る。
りぃくんがうっす。と、挨拶。皆も口々に挨拶をした。
「モンちゃん。差し入れありがとう。」
「おう。2周年。めでたいな。」
モンちゃんは、僕の頭を犬にそうするように撫でて笑った。
モンちゃんはハタチを過ぎていて、今はフツーに仕事をしてる。
こうやって僕たちの様子を見に来てくれたり、保護者みたいだ。
「
俐士。ちょっといいか。」
皆がモンちゃんの差し入れに群がる中、モンちゃんは、りぃくんを手招きした。
何スか、
紋冬さん。と、りぃくんは首をかしげてモンちゃんと別室へ。
でもものの数分で戻ってきた。
今度は、りぃくんが、僕とニャンタ、ケンケン、ハチ、タマを呼んだ。
東華創設メンバー。
皆は、幹部。と、呼ぶ。僕が
首領だ。
別室で、りぃくんがいつものクールな表情のまま、言った。
「さっき杜松が言っていた、港区の東京港心會。紋冬さんからも聞いた。どうやら、最近の児童誘拐事件に関わっているらしい。」
りぃくんが、僕を見る。
ここ最近、都内中心に子供が行方不明になる事件が数件。
ついさっき伸した男たちの口走った言葉。
―――ノルマまであと一人なのによ。
ふぅん。
僕は鼻をならしてうなづいた。りぃくんも目顔で承諾。
ニャンタ、ケンケン。ハチとタマも皆。阿吽の呼吸だ。
「
源剱くんは、東京港心會について、調査。なる早で。タマは関連のありそうな事件ピックアップ。ハチは見回り、ゴミ掃除の強化。」
りぃくんの適確な指示。
なゆたくんは。と、ニャンタを見る。
ニャンタが挙手をする感じでりぃくんを制した。
「親父のツテで関西当たってみるわ。いいか、Teddy?」
杜松の情報の精査。当然僕はうなづいた。
相変わらずいいチームだ。
リビングに戻ると仲間が増えていた。僕が皆の前に立つと一瞬で静まり返る。
「近々、港区の東京港心會とぶつかる。心しておけ。」
はい。と、一斉に声が揃った。
りぃくんが、詳細を説明し、情報提供を求めた。
ニャンタたちを筆頭に役割分担、チーム分けの指示をする。
さっきの男たちが東京港心會なら、制裁確定。問答無用。
今日の日に発覚なんて、お前が知らせてくれたのか。
僕は、棚の上、着物姿の女の子―――
雅楽。の写真を見つめた。
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